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Xi Jinping speaks at the 20th National Congress of the CCP on October 16 at the Great Hall of the People in Beijing (Xinhua via Kyodo)

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習近平・中国共産党総書記は党大会初日の政治報告で、総書記就任以来の2期10年を振り返り、貧困脱却などの成果で「歴史的勝利を収めた」と強調した。

 

だが、中国は経済の急成長を背景に軍事力を増強し、国際法を無視して南シナ海を中心に軍事拠点を築いた。巨大経済圏構想「一帯一路」によって発展途上国などへの影響力を強めた。

 

さらに新疆ウイグル自治区での少数民族への人権侵害に加え、香港では国家安全維持法を導入し、自由な言論を封じ込めた。

 

こうした専制主義的な行動に対する国際的な批判に耳を傾けず、「中華民族の偉大な復興」を掲げて強国・強軍路線を邁進(まいしん)する習氏の姿勢は到底許されない。

 

10月22日までの党大会を経て、習氏が異例の3期目に入ることは確実視されている。長期政権下で強国・強軍路線を加速させるだろう。力による現状変更や人権弾圧は容認できないだけに、日本は米欧や豪州などと協調し、対中抑止に注力すべきだ。

 

新疆ウイグル自治区トルファンの警察署を視察する習近平国家出席=7月14日(新華社=AP)

 

69歳の習氏の続投で、「党大会時に68歳以上なら引退」との中国共産党の人事慣例は破られる。習氏はそうした「3期目入り」の正当性を示す必要がある。

 

党大会では、習氏が不動の権力と権威を固めたことを意味する「二つの確立」を盛り込んだ党規約改正案が承認される見通しだ。正当性を付与するための権威付けが習氏への権力集中を高め、独裁色が強まるのは必至である。

 

中国はロシアやイラン、北朝鮮などと連携し、米国との対抗軸を築こうとしている。

 

これは民主主義陣営にとって大きな脅威である。強権国家が互いの自由・人権の侵害を認め合う危険な結託といえよう。日米欧は厳しく監視せねばならない。

 

台湾については「台湾独立勢力と外部勢力の台湾への干渉という挑発に重大な闘争を展開した」と米国などを牽制(けんせい)した。そのうえで「祖国の統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と武力行使による統一を放棄しない考えを示した。警戒が必要だ。

 

魚釣島近くで調査船と並走する中国公船(中央)と、その動きを警戒する海上保安庁の巡視船=1月31日早朝、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺(石垣市提供)

 

尖閣諸島(沖縄県)周辺での中国海警局船の挑発など、日本は習氏の強国・強軍路線と直接向き合わざるを得ない立場である。岸田文雄政権は安易な対中融和ではなく、専制主義に対して厳しく対峙(たいじ)してもらいたい。

 

 

2022年10月17日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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